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フクロウ先生&タマちゃんの【東洋医学のお話①】

こんにちは。くらしの杜クリニックで看護師をしている“タマちゃん”です。

勤務を始めて早十ヶ月。杜の自然に癒やされながら、和やかに仕事をしています。

 

このクリニックでは糖尿病を中心とした内科と整形外科を診ていますが、他のクリニックとは少し違うところがあります。

それは、内科の“フクロウ先生”がよく漢方薬を処方すること、そして鍼灸師さんが患者さんの治療にあたってくれていることです。

 

 

 

そんなクリニックの看護師としてもっと東洋医学のことを知らなくては…いや知りたい!

もともと旺盛なタマちゃんの好奇心に火がつき、ふくろう先生に色々質問をぶつけてみることにしました。

 

 

 

 

タマちゃん(以下タ)というわけで宜しくお願いします。フクロウ先生、いきなり真顔で難しいことを言い出さないでくださいね!

 

フクロウ先生(以下フ)わしはそんなに気難しい顔をしているかの…ホー。

 

そうですよ。この間も患者さんに「脈微細ただ寝んと欲する、少陰の病じゃ。ホー!」。なんて訳のわからないこと言っていたじゃないですか?

 

フ:ホー、それは『傷寒論』の一文じゃな。確かミミズク爺さんがカゼを引いた時のことじゃった。身体が冷えきって、発熱するだけの体力がなかったから麻黄附子細辛湯という薬を出したんじゃが「カゼの治りがいつもより早い」と感謝されたぞい。それにしてもアンタは『傷寒論』の難しい文章をよく覚えておるなぁ…ホー。

 

タ:そりゃぁ、私は若くて記憶力抜群ですから…エッヘン。でも理解力は悪いから、分かりやすく言ってくれなきゃわかりませんよ。そもそも『ショーカン・ロン』って何ですか?ロンというモンスターを召喚するんですか?それとも国士無双を超える麻雀の上がり手ですか?

 

フ:ホホホホホ。タマちゃんは若いのに昭和のオヤジギャグみたいなことを言うんじゃな。『傷寒論』はカゼなど感染症を東洋医学で治すためのコツが書かれた、東洋医学者のバイブルじゃ。

 

タ:そういえば先生はカゼの時に漢方薬をよく使いますよね。

 

フ:もちろん細菌が悪さをしていそうだったら抗菌薬も使うし、インフルエンザの時は抗ウイルス薬も使う。でも普通のカゼだったら、漢方薬を使って自分で治る力を後押しした方が治りが早いんじゃ。あと、カゼはとにかく予防が大事じゃな。ワシもカゼのひき始めには葛根湯を飲むし、何よりもゆっくり休む。養生が大切じゃ。ホー。

 

タ:そういえば子供のころ私がカゼをひくと、お婆ちゃんが葛湯に生姜とハチミツを混ぜて飲ませてくれたなぁ…カゼの時に飲むと不思議と美味しかった。なんだか東洋医学って懐かしいイメージがありますけど、やっぱり歴史は古いんですよね。

 

フ:東洋医学は4000年くらい前の中国が起原と言われておる。その知識が何冊かの本にまとめられたのが1800年ほど前の後漢・三国時代で、さっき言った『傷寒論』もその一つじゃ。その後は周りの国にも広がっていって、日本には奈良~平安時代に輸入され、鎖国になった江戸時代には日本流の考え方が深まった。日本流の漢方のことを特に“和漢”と呼んで、中国のものと区別をすることもあるようじゃな。お隣の朝鮮半島でも“韓医学”として今も根強く残っておる。十年くらい前に流行した『チャングムの誓い』というテレビドラマを覚えておるかのぅ?

 

タ:チャングムは家族で見ていましたよ。お母さんが韓国ドラマが好きだったから。

 

フ:あれは主人公のチャングムという女の子が“韓医学”を極めようとする話だったのぅ、チャングムがけなげで、涙なしには見られなかったのぅ……ホゥ~……

 

タ:あ、フクロウの目にも涙。ところで1800年前って日本だと弥生時代ですよねぇ。そんな昔の知識で薬を出して大丈夫なんですか?

 

フ:ブシュッ!(鼻をかむ音)。確かに医療の進歩は本当に早くて、医学界の常識も日々変わっている。しかし変わらない医療もあるんじゃ。昔からの知恵、漢方薬や鍼灸のようなツボ刺激療法は何千年も続いているが、これは膨大な治療経験の中で効果のあるものだけが何千年も淘汰されずに生き残ってきた、ということじゃろうな。

 

タ:なるほど!この間、テレビの特集でやっていた“AI医療”みたいですね。経験をたくさん集めた膨大なデータをAIが学習することで、その経験を生かした治療ができるって。

 

フ:ホー!タマちゃんは見かけによらず賢いのう。そのとおりじゃ。やはり1800年前に書かれた『神農本草経』という生薬の本にも「百草をなめ一日に七十の毒にあたった」という一文がある。これは薬の採集をした先人たちが、実際に薬草をなめて毒にあたりながら効果を調べた、ということじゃろう。

 

タ:何千年もかけた無数の人体実験で効果を確かめている…説得力のある“ビッグデータ”ですね。

 

フ:そのデータをまとめあげた医者も凄いぞ~ホーッ!さっきの『傷寒論』の著者は張仲景という役人なんじゃが、はやりの感染症によって自分の一族200人のうち、実に3分2が病死してしまったんじゃ。そのことが『傷寒論』を書き上げるきっかけになったらしい。中国は血縁を大事にするお国柄だから、よほど悔しかったんじゃろう。執念が感じられるのぉ。

 

タ:うーん。東洋医学の土台には先人達の血と汗と涙があるっていうことですね。先人の知恵、畏るべし。

 

フ:でも時代と共に人間の身体は変わってきているから、漢方を昔の考えで使っても効かないことがあるのじゃ。今の方が栄養状態がいいから肥満や生活習慣病が多いし、花粉症も増えている。カゼのかかり方も違えば、長生きになって癌も増えてくる。スマホやパソコンのやりすぎで身体も歪んどるし、心の病も増えている。時代にあわせて東洋医学も変わっていかなくてはならんのじゃ。

 

タ:うーん。昔と今とで病気も違うんですね。たしかに私もスマホのやり過ぎで肩凝りや眼の疲れがひどくて…。昔の人はこんな悩みなかったかもしれないですね。

 

フ:あとは西洋医学と協力関係を保つことも大事じゃ。たとえば急性期の内科疾患やインスリンが必要な糖尿病を漢方や鍼だけで治そうとするのは絶対にダメじゃ。世の中には西洋医学を受け入れない人や、逆に東洋医学が嫌いな医療者もおる。どちらかに偏らず、西洋医学と東洋医学をうまく併用していかねばならんのぉ。

 

タ:確かにお互いの良い所を取り入れて治療に生かせれば、患者さんもうれしいでしょうね。それにしてもフクロウ先生はホーホー言いながら、そんなことを考えていたんですか・・・少し見なおしました。

 

フ:おっと、もうこんな時間。さらばじゃ。ホーッ、ホーッ(羽根をパタパタして飛び去る)

 

タ:フクロウ先生はお腹がすいたのでお家に帰ってしまいました。この続きはまた次回。

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